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死体検案書の怪


ほんとに恥ずかしい話だけど、私の母は腐乱死体で発見された。それは17年前のことだけれど、なんだか現代の社会問題(独居老人、核家族化 etc…)とつながりそうな話かもしれない。

私は26歳で結婚した。病弱な母との同居を快諾してくれた元夫だったが、母の世間知らずな言動が原因で同居3週間足らずで決定的に折り合いが悪くなった。こともあろうに元夫は母に暴力をふってしまった。私にすら暴力をふったことのない大人しい人だったのに。


病弱な母が独りで気兼ねなく暮らせて、しかもすぐに飛んで行ける距離の物件を探し回ったが、当時50歳の無職母の独居を受け入れる不動産屋は見つからなかった。仕方なく車で30分ほど、距離にして20キロほど離れた隣町の不動産屋に、母娘2人住まいという嘘をついて物件を借りた。

その町は割と昔ながらの人間関係「も」残っている地域だった。古くからの住人が新しく入って来た住人の面倒を見てくれたり指導してくれたりという温かさ(逆にいえば鬱陶しさ)があった。

大家さんはとてもいい人だった。近所の人や民生委員の人も、しょっちゅう母を訪ねてくれた。私の買物で足りないものを買って届けてくれたり、退屈だろうと雑誌を届けたりしてくれた。

統合失調症だった母は、自分より夫を選んだ実娘の私を憎みに憎み、ご近所や民生委員や市の福祉課、銀行や郵便局にまでも、さらには私が籍を置いていた会社の総務部長にまでも、私の悪口を言い続けていたらしかった。なんと言われようと、扶養の義務を感じていた私は、話し相手になどはならなかったけど(不毛な言い合いが続くだけなので=私も精神的に未熟だった)、食料品日用雑貨品の買物だけは隔週で届け続けた。お金も必要なら届けた。もちろん家賃は私が払っていた。

母は老後が心配だと言って、働かずに父の仕送りから貯めた数百万の自分の(?)貯金はがんとして使わなかった。

私たち夫婦は元夫の実家にはしょっちゅう帰省していた。義両親は私をとても可愛がってくれたし、あんな母にもとてもよくしてくれた。母が入院したときも新幹線で2時間の距離を見舞ってくれた。でも母は私たち夫婦が義両親の家に行くのを妬いて嫌がった。だから帰省土産もたまにしか届けなかった。内緒で帰省した。

そんなあるとき、大雨の降る金曜日に私は夜遅くまで残業していた。元夫が最寄りの駅まで迎えに来てくれて、そのまま義両親のところに泊まりにいった。大雨で心細かろうと母のことが気になり、「初めて」会社から電話を入れてみた。母は出なかった。

その10日後ぐらいに大家さんから電話があった。昼間なのに電気がついていて、部屋の鍵は取り替えられていて大家さんにも私にも開けられなかった。鍵屋さんが鍵を壊したが、ドアに二重にロックが取り付けられていてだめだった。警察が窓を割って土足で入った。母は玄関で倒れていた。お向かいの人が元警察官だったお陰で、不審な様子に気づき大家さんに教えてくれたのだった。倒れたのが玄関でなかったら、見つかるのがもう少し遅れたのだと思う。


…以上が恥ずかしい顛末だ。私は生まれて初めて調書を取られた。一応事件性はなく自殺でもないだろうということだったが、遺体は地元の小さな医院に転送したと言われた。ご親切にも葬儀屋が警察に来てくれた。医院も葬儀屋も警察が手配してくれたのだった。

遺体と死亡証明書(死体検案書)は、5万円と引き換えと警察から言われ、疑問も持たぬままお金を持って書類を受け取りに行った。葬儀屋はとても親切で、市役所に火葬許可を取る手続きなどをてきぱきと進めてくれた。



そして17年経った。自分もいろんな病気に次々とかかり、とうとう難病になり、昨日ちょっとしたきっかけで通院している病院の文書料一覧というのを見た。

死亡証明書4200円。


は? 確か5万円払った記憶があるのだけれど。それでなんとなく興味本位で検索してみたら、自治体により、無料から10万円ぐらいまですごく幅があることを知った。東京都は無料らしい。私がいた埼玉では、その件が問題として議会にあがった記録もあった。

参考になりそうな話題のリンクを貼っておきました。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/dl/manual.pdf
また、遺族から徴収する検案料については、実費を勘案して適正な額として下さい。
埼玉県議会/平成20年9月定例会 質疑質問・答弁全文 石渡 豊議員
検案医の独り言


当時はがむしゃらに働いていたし、月の残業代だけで5万円なんてラクに払えたので、言われるままに払ってしまった。それに腐乱死体を(たぶん…)解剖してくれたのだから、普通より多めで仕方ないと思ったし。

でも、もし収入の不安定な今だったら、どう感じるだろう? いきなり身内が亡くなって、いきなり遺体を引き取るのに5万円とか7万円とか言われたら、困る人はたくさんいるだろうと今なら理解できる。

埼玉県知事の議会での答弁が面白かった。

結論であります。現段階では、私の判断として、自助・共助の精神、家族の絆を守るという観点から、税金を投入して対処するのはいかがかなと思います。
 現在、県社会福祉協議会で生活福祉資金貸付制度により、緊急時や冠婚葬祭時に貸付けを行っていますので、当面これを利用していただく、活用していただくという考え方に立ちました。




今日の病状:手指むくみ■■■□□。背痛激痛。浮腫み、関節痛。
…むくみは5段階評価を黒四角でインジケート、■が多いほど不快です。


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びまん型全身性強皮症慢性疼痛(筋筋膜性疼痛症候群)双極性障害II型強迫性障害。趣味は習字と実験。

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